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日活版『事件記者』・脇役俳優アワード(その1)

1959年から1960年にかけて8作品、2年後の1962年に2作品と、総計で10作品が製作された日活版『事件記者』を通して観ると、メインキャストはNHKテレビドラマ『事件記者』と同一の役柄を演じるお馴染みの俳優陣と、日活映画版のみのため設定された新キャラを演じる日活俳優陣(専属俳優や、本数契約等で何らかの契約関係にあった俳優、或いは契約はしてないけど日活作品への出演機会が多かった俳優etc…)との混成チームとなっていたのがわかります。

で、これから何回かに分けてお話したいのは(どちらかというと)そういったメインキャスト以外の役を演じていた俳優さんについてです。

シリーズ10作品を通し、ドラマの筋立てに必要な様々な役柄を、日活専属の脇役俳優・大部屋俳優の皆さんがくるんくるん入れかわり立ちかわり演じ分けています。
(もちろんこれは『事件記者』シリーズに限らず他の日活映画でもそうだし、また日活以外でも「撮影所時代の専属俳優が作品ごとに(※通行人などの「仕出し」的なものを含めた)様々な役を演じ分ける」のはごく当然の成り行きなのですが。)

あの役で登場の俳優さんが、次の作品ではこんな役を!などと考えながら10作品を観ていくのも非常に楽しく、シリーズものを観る醍醐味のひとつとなっているかと思います。
というわけで、日活版『事件記者』に出てきた脇役俳優たちについて「シリーズ通算でいったい何役演じたか?」という観点で勝手に「脇役俳優アワード」を開催、ひそかに称えていきたいと思います。
10作もありますと、ぶっちゃけ2役・3役はもう当たり前でして、本日はアワード大賞ともいえる「複数役」を演じた俳優さん2人をご紹介します。

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◎(シリーズ通算で)5役を演じた俳優
あくまで自分が数えられた範囲ですが、シリーズを通して最も多い「複数役」はおそらく「5役」かと。
しかもエントリー俳優さんは、私の認定するところでは2人いらっしゃいました。
この2人が必然的に脇役アワード大賞です! お2人ともおめでとう!!(パチパチパチ)

【神山 勝】
・第2作『事件記者 真昼の恐怖』
 → 六郷土手で死体を発見するカップル(の男性のほう)
夜の六郷土手でデート(カップルの女性役は木城ゆかり)してたら死体がごろごろ転がってきてギャー!というシーン。このシーンの神山さんがちょうつがいの付いたような不思議なカバンを手に持っていたのが個人的に気になってます。ぱっと見「ラジオかな?」と思えるようなこの持ち物、たとえば「音楽鳴らしながら屋外デート」みたいな設定だったのなら辻褄は合うのですが、それも確信が持てなくて(まあ、単に「木製のカバンだった」ということもあり得ますが…)。

・第3作『事件記者 仮面の脅迫』
 → 駿河台ホテルの部屋に踏み込む刑事のひとり(※ノンクレジット)
黒ぶちメガネかけて拳銃持っての登場だったかと(ダンディな神山さんはメガネ姿がなかなかお似合いです)。大勢の刑事の中でも、神山さんひとりで窓の外の様子を伺うカットがあり、ちょっと目立ってます。

・第5作『事件記者 影なき男』
 → イナちゃん結婚式の列席者のひとり(※ノンクレジット)
鑑賞後の自分メモによれば、披露宴シーンではなくその前の結婚式シーンのほうではっきり映っていた模様。新婦の母親・おちかさん役の相馬千恵子が座る列の、向かいの列に座っていたらしい。その列の後方から前方にかけて、浜口竜哉、佐川明子、神山勝…という並びで座っていたかなあと。並びは若干不確かながら「神山さんが居た」ということだけは確かです。

・第6作『事件記者 深夜の目撃者』
 → ラスト近くで石丘伸吾を治療する医者(※ノンクレジット)
重傷で横たわる石丘伸吾に対し、共犯の野呂圭介の逃亡先を聞き出そうと刑事が尋問もしているというシーンで、傍らに居る医者役の神山さん。石丘伸吾については「命だけはとりとめた」という描写に思えたのですが、これは観た人によって意見は分かれるかな。

・第9作『事件記者 拳銃貸します』
 → (新井麗子が営む)おでん屋の客
森みどり扮するホステスらしき女性と共におでん屋の屋台にやってくるカップル客。セリフ結構あり。確か連れの森さんに「質屋でもうかってるんでしょ」なんて言われてお代を多く払わされたりして(おつりをもらえないんだったか?)散々なお客さんでした。そして後から考えると、このカップルが来た時の屋台には、実は後の事件に関わる重要人物が勢ぞろいしているという…。


【英原穣二】
・第2作『事件記者 真昼の恐怖』
 → 病室前でガードする警官
被害者の病室前に立ちふさがり、記者等の部外者を入れぬようガードする警官役。第1作でも同ポジションの警官役(こちらは大森安行が演じる)が登場しますが、警察対記者の攻防を見せるための格好のシチュエーションと言えましょう。
そして両者押し問答の末、原保美が演ずる日報・べーさんの「あんた、出世するよ」という名セリフが飛び出します。
(個人的には、これはシリーズ屈指の名セリフのひとつだと思っております。)

・第4作『事件記者 姿なき狙撃者』
 → ラストで公園にやってくる警官隊のひとり
日報・スガちゃんこと沢本忠雄が杉幸彦を自首させようと必死の説得。しかしそうこうするうちに杉幸彦を消そうとする一味がやってきて2人とも危機一髪!なシーンに現れる警官隊。あくまで大勢の中のひとりの英原さんですが、顔はしっかり映ってたかと。

・第8作『事件記者 狙われた十代』
 → 撃たれて亡くなる警官
城西線・ひばりが丘駅という架空駅での売上金強奪事件、その現場にいち早く駆けつけて犯人の凶弾に倒れる警官役です。後姿が多く顔も殆ど映らないが、バッタリ倒れたカットの横顔で英原さんだと見てとれます。日報・相沢キャップのセリフに「亡くなった警官は昨日子供が生まれたばかりだって? そりゃ気の毒に…」といった主旨のセリフがあり、きちんとバックグラウンドも設定された重要な役だと言えるかも。

・第9作『事件記者 拳銃貸します』
 → 交通課の刑事のひとり
池袋北口での白タク一斉検挙シーンでの(メインの)刑事。いわゆる「センター」的な立ち位置で映り、アップもあったしセリフも幾つかあり。ロケ地は東武東上線の線路脇ですが、私だと時々埼京線の車窓からこのシーンの撮影場所を見たりしてます(埼京線からも遠巻きに見える)。見るたびに「ああ、白タク一斉検挙シーンのとこだ」と、何となく思い出されて。

・第10作『事件記者 影なき侵入者』
 → (会議のシーンに登場する)警視庁刑事のひとり(※ノンクレジット)
捜査会議のシーンにて、確か向かって右の列の奥から2番目に座っていた気がします(私の鑑賞後メモが正しければの話ですが…)。一番奥が鑑識役の八代康二だったはずだからその隣。そして何のかんのでずっとクレジットありでの出演だった英原さんですが、今作のみ痛恨の(?)ノンクレジットであります。

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上記の神山勝さんと英原穣二さんは、当・脇役アワードにおける「同率1位」という見解ですが、あくまで「違う役柄の演じ分け」という観点で見るならば、全て違う役どころだった神山さんが、僅差でトップと言えるかも知れません。
対する英原さんは(全てシチュエーションは異なるものの)みな「警察官役」のバリエーションとなるので、そこは「5役」を謳うのにやや弱い点なんですが、しかし神山さんは5役中でクレジットありの役が2役だが、英原さんはクレジットありが4役…と考えると、この面では英原さんに軍配が上がるのかなとも。
さて日活版『事件記者』ファンの皆さんは、どのようにお考えでしょうか。
(そんなの興味ないなんて言わないで…。くすん)

脇役アワードその1からして、こんなに書くの時間かかってどうするの? その2なんて果たして書けるの? この調子だとどうなるの? … と、もろもろの自問自答をしつつ、(いつ更新できるかわからないけど)ひとまず次回に続く。
ではまた。
by hamanokani | 2014-05-25 22:39 | 日活俳優など
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